サイドマン:スターを輝かせた男たち

年明け最初の週末。

いつにも増して買い物袋をぶら下げた人々を横目に、一人K's cinemaへ。


目当ては『サイドマン:スターを輝かせた男たち』


上映5分前。ホールにはちらほら人が。もちろん年齢層は高め。

整理番号が13番だったので、後から来た人を含めてたぶん15人程度の入り。


一番うしろの真ん中の席に座る。

別に混んでいる訳でもないので、皆ひとりひとり間を空けて座っているのだが、わざわざ僕の隣に男性が座ってきた。

しかも僕の側に飲み物を置いて、肘をつき、足を組んで。しまいには僕の方へもたれかかってくる。

そしてフライヤーを見ながらこのメンツがどうとか独り言。


なんだろう。

若いもんにこの映画がわかるのか、と挑発されているようでイラっとする。


こういうマウント取りたいだけの人がいるから…。


おっさん、日常生活でそんなにも虐げられているのだろうか。

というかこっちに知識がないと思っているのが非常に残念。

そもそもインターネットが普通に存在する時代に生まれてる人間を馬鹿にしてはいけない。

たしかに百聞は一見に如かず。とはいうけれども。

リアルタイムで経験出来ていない世代だからこそ現実には埋められない時間を少しでも埋められるように好きになったものはとことん調べるし、とことん追い詰めて調べているのだ。

もちろん情報だけを詰め込んだ頭でっかちな人間にはならないように注意しつつ。


実際聞いていても大したことは言っていなかった。

逆におっさん、本当に好きなの?知ってるの?っていうくらい上辺な感じで逆に恥ずかしかった。


まぁ、相手にするのも馬鹿らしいので、おとなしく前の席に移ったわけだが。



ーーーーーーーーーーー


パイントップトップ・パーキンス。

ウィリー“ビッグ・アイズ”スミス。

ヒューバート・サムリン。


三者に焦点を当てた音楽映画。

演奏シーンは多くなく、基本的には本人の映像と様々なアーティストのインタビューを交えて進んでいく。

生い立ちや逸話など、興味深い話も数多くあった。


例えば。

パイントップのマック依存症?とか。

ヒューバートのウルフの演奏中に空から降ってくる事件とか。

最高齢でグラミー受賞とか。


偶然にしては出来すぎてる話もあったりして。

ようするに運命だったんだろうな。


『ブルース・ブラザーズ』でジョン・リー・フッカーが歌っている場面、本当はマディが出演するはずだったというのも貴重な話。

ジョン・リー・フッカーの後ろにはもちろんサイドマン。


最後まで観て。

笑い、感動、涙。


でもやっぱり複雑。


世の中の人間はマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフは知っていても、バンドのメンバーのことまでは知らない。

日本のバンドなんかではよくあることだけれど、海外でも同じなんだなと。


世間一般としては知られていないけれど、着実にキャリアを積み重ね、様々な経験をし、様々なステージに立つ。


しかしマディやウルフが亡くなったことで、仕事が激減。

キャリアはあるし、年齢は重ねてるし、ギャラは高いし。


それで一気に生活が厳しくなるなんて。


本当は大変だったんだろうな、と想像に難くないにもかかわらず、それらを笑顔で話す。


そんな姿を素直にかっこいいと思えたし、だからこその人生だったのだろうなと。


それぞれリーダー作はあるにせよ、人生の大半をサイドマンとして生きてきたのだ。

彼らはサイドマンと呼ばれることに抵抗はなかったのだろうか。


最後の、若者たちも最高だった。

プランテーションでギターを手にセッション。


曲はマディでもウルフでもなく。


“Hideaway”


フレディ・キングかぁ。


僕も若い頃、必死になって練習したなぁ。

今でも弾けるのだろうか。


彼らの残した音楽を僕らは責任を持って後世へと伝えていかなければいけないと思った。



ーーーーーーーーーー


映画のレビューってこんなんでいいのか。


素敵な映画だったけれど、上映される劇場が限られている上にジャンルがジャンルなので観る人はとても少ないのだろう。


音楽云々ではなく、人生に影響を与える可能性も秘めた内容なだけに、それが非常に残念。

円盤化されることを祈りつつ。


これを機に改めて彼らのキャリアに触れてみようと思う。

『サイドマン:スターを輝かせた男たち』

2016年/アメリカ/英語/80分

監督 スコット・ローゼンバウム

配給 CURIOUSCOPE

タグチフミヤ Official BLOG.

Sound Produce, Compose, Arrange & Guitar. 依頼、各種お問い合わせはこちらまでお願い致します。 contact@fum1z0music.com